〇 不動産登記法
- 1、 原則は原本還付可能 (不登規55条1項本文)
- ※具体例
- →売買契約書、遺産分割協議書、判決正本、株主総会(取締役会)議事録
- 2、 例外その1(規55条1項但書1つめ)
- 以下の「印鑑証明書」
- (1)申請書に押印した印鑑証明書
- (2)委任状に押印した印鑑証明書
- (3)第三者の同意又は承諾書に押印した印鑑証明書
- (4)裁判所で選任された者が申請書に押印した印鑑に関する裁判所書記官の証明書
- (5)裁判所で選任された者が委任状に押印した印鑑に関する裁判所書記官の証明書
- (6)裁判所で選任された者が第三者の同意又は承諾書に押印した印鑑に関する裁判所書記官の証明書
- 3、 例外その2(規55条1項但書2つめ)
- 「登記の申請のためにのみ作成された書面」
- (1)登記の申請のためにのみ作成された委任状
- (2)報告書形式の登記原因証明情報
- (3)資格者代理人の本人確認情報etc
- 4、 不動産登記法原本還付ワンポイントれっすん♪
- (1)「2、例外その1」で挙げた印鑑証明以外の理由で提供する印鑑証明書は原本還付できる。たとえば遺産分割協議書に添付する相続人の印鑑証明書、資格者代理人の印鑑証明書など。
これに対して、仮登記を権利者により単独申請する場合の義務者の承諾書や官公庁と取引をする場合の義務者(私人)の承諾書に添付する印鑑証明書は「2、例外その1(3)」の承諾書に該当するので、原本還付不可。
今後新しい問題も出る可能性があるので、「2、例外その1」の6個のパターンは覚えた方がいいかもです。
覚え方は「申請書」「委任状」「承諾書」で3。これらの書類の書記官バージョンで3。3+3=6です。
- (2)「3、例外その2(2)」ですが、あくまで原本還付ができない登記原因証明情報は報告書形式のタイプのやつ。
- 契約書なんを登記原因証明情報として提供する場合は「登記の申請のためにのみ作成された書面」とはいえないので、原則に戻り原本還付可。
これもひっかけででる可能性アリ。
ちなみに「登記の申請のためにのみ作成された書面」が原本還付不可なのは、他に利用価値もなく返す必要がないからです
- (3)今回あつかった原本還付の可否はあくまで登記の申請の場面での話です。登記識別情報の失効申出や有効証明請求は別途規定されています。
- (a)失効申出→登記申請と同じ(不登規65条11項、同55条)
- (b)有効証明請求→登記申請で言うところの「例外」が準用されていない。したがって印鑑証明書等の原本還付も可能(不登規68条12項、同55条1項本文)
〇 商業登記法
〇 供託法
- 1、原則は原本還付可能 (供託規9条の2 1項本文)
- 2、例外(供託規9条の2 1項但書き)
- (1)配当その他官庁又は公署の決定により払渡請求する場合の官庁等から交付された支払証明書
- (2)代理人の権限を証する書面
- →もっとも代理人の権限を証する書面でも官庁や公署が作ったものは還付できる!!(例外の例外)
- 3、供託法原本還付ワンポイントれっすん♪
→以下の請求において原本還付が可能。供託のときにだけ原本還付が認めれるとういわけではないっす!(供託規9条の2 1項本文)
- (1)供託書
- (2)代供託請求書
- (3)附属供託請求書
- (4)供託物保管替請求書
- (5)供託物払渡請求書
- (6)供託金利息請求書
- (7)供託有価証券利札請求書
〇 全体のまとめ
→結局例外はまちまちだが、3法ともすべて原本還付できるのが原則(商業登記法に限っては例外すらない)
原本還付は3つの法律で出てくるんで、まとめて覚えちゃった方がいいですねo(>▽<)o