皆さまおはようございます(^^*)
最近研修の嵐でまったくブログが更新できない状態が続きすみません(汗)
今、簡裁代理権取得のための勉強をやっているんですが、その中で出てくる二段の推定は司法書士試験でも出てくる可能性があるのでまとめてみました。ぜひ参考にしてください( ・∀・)ノ
まずは民事訴訟法228条4項ですが
というものです。
なんかややこしいのは2と3で何が違うんだという事です。
「意思」と「成立の真正」
言葉が抽象的で同じようなことを2回繰り返しているだけで、二段でもなんでもないような気がするんですよね。
しかし両者は厳密に言うと意味が違います。
「成立の真正」とは文章全体が作成者の意思に基づいていることをいいます。
例えば、甲が乙に100万円貸したという内容の契約書に乙が署名捺印するとします。
このとき乙自身が捺印する以上、本人の「意思」で押印したといえます。
しかし、100万円借りるという本文の部分が目隠しシールとかで覆い隠されていて、乙はその部分が読めなかったとしたらどうでしょうか。
この時本人の「意思」による押印があったとしても文章全体が作成者の意思に基づいているとはいえません。
つまり「成立が真正」とはいえないわけです。本人は中身がなんなのかさっぱり把握していない契約書にハンコ押しちゃっているだけですから。
二段の推定をわかりにくくしているもうひとつの原因は条文の文言にあります。
「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」
この条文を読むと、誰が契約書にハンコ押したかを問わず、とにかく契約書に本人の所有してるハンコが押されていれば、文章が真正に成立したものと推定されるように読めるんです。
もう一度さっきの二段の推定の流れをアップしておきますね
(=°-°)ノ□ ペタッニャン
つまり条文では2をすっ飛ばして1から3にダイレクトに推定していると。
でもこれは違います。条文の規定の仕方が抽象的すぎるから勘違いしやすいところですが(ToT )
厳密には条文の「押印があるときは」というのは「押印が本人の意思に基づいているとき」と解釈されてます。
つまりこの条文で推定されるのは上記の2から3への部分だけで1から2の部分は条文の射程範囲ではないはずなんです。
しかし1から2の部分もついでに推定しましょうというのが判例の理論です。
その結果、1から2の過程と2から3の過程の両方が推定されるので二段の推定と呼ばれるわけです。
ちなみに1から2の過程は単に判例が法律の根拠なく推定している「事実上の推定」です。
それに対して2から3の過程は民事訴訟法228条4項に基づく「法律上の推定」です。
証拠として提出された契約書に押されているハンコが自分のハンコか否かというのはそれが実印ならば証明は簡単です。印鑑証明書を取り寄せて照合すれば一発ですから。
あとはこの判例が出たおかげで、仮に他人が勝手にハンコ盗んで押したものだったとしても、
と自動的に推定されちゃうという仕組みです。。
もちろん自分が押したんじゃないという反証に成功すれば請求は免れますが、これは至難の業です。
という事で自分のハンコを人に貸すときはとても注意しなければいけないという事になります(当たり前ですが)
上記のごとく判例は驚異的にハンコを信用しているので、あとでいやわしゃ知らんというのが裁判では通用しません。
日本がハンコ社会と言われるのもうなずけますね。くわばらくわばら。。(+_+。)