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カテゴリー 商業登記法

商業登記の登記事項

 今回は商業登記の登記事項を覚えるときの自分なりの考え方について書きたいと思います。

 会社法911条3項には「商号」やら「目的」やら株式会社が登記すべき事項の一覧がずらっと並んでいます(゜▽゜;)

 この登記すべき事項というのは結局、取引先や利害関係人が事前に知りたいであろう情報の一覧だと思うんです。

 たとえば、「1億の取引をしようと思うけど、資本金はどれくらいあるのだろう?

 もし100万円しかなかったら融資しても焦げ付く可能性があるな」とか。

 他にも、「この人と取引して大丈夫かな!?本当に代表取締役なのだろうか?

 代表権がなかったら効果が会社に帰属しないので、ちゃんと代表取締役なのかどうかを登記簿で確認したいなー」とかetc

 まー取引に入る人は会社の情報というのを事前に知っときたいわけです。

事前に相手を知ることによって取引が円滑に進む。 ( ^-)_旦~~

そのことはひいては当該株式会社にとっても有利なわけです。

 秘密主義よりかは公のシステムを使って会社の情報を公開することにより、取引相手の信用を得られるわけですね。

 じゃーなんで会社が登記することが911条3項で規定されている情報に限定されているか(・_・?)

 よくよく考えて見ると他にも取引先が知りたい会社の情報なんていくらでもでてきます。
たとえば、よく勘違いしやすいところで、会社の決算期とか。登記事項じゃないんですけどね。他にも定款の内容とか、株主の一覧エトセトラエトセトラ。。

あれもこれも知りたいよなっと。。φ(◎◎へ)フムフム

 思うんですが、多くの情報を載せるという事はそれだけ「閲覧性」つまり登記簿の読みやすさがどんどん害されていきます。

 それは会社の情報を分かり易く開示するという視点から見ればデメリットにもなりうるわけです。

 またなんでもかんでも情報を開示しないといけないとなると、会社の設立そのものを萎縮してしまう経営者も出てくるかも知れませんからね。何事もバランス論が重要。。

 そんなことを考えて見ると、情報のうち一定の重要性の高いものだけを法定化し、登記するという現在のシステムにも合理性があるわけです。

 上記は趣旨として僕が個人的に考えるところであり間違いかもしれません。ただ登記事項を情報として「重要性」の高いものにしぼってるなと思わせるものがいくつかあります。

たとえば、「取締役」

 株式会社の場合は「取締役」が「代表取締役」でもある場合、その両方の立場を登記します(会911条3項13号、14号)

 
 「取締役 小林一行
 大阪市都島区友渕町一丁目5番〇〇
 代表取締役 小林一行」

 

という感じです。

 これに対して有限会社の場合、代表権のある取締役でも「取締役」としての立場しか登記しません(代表権のない取締役がいる場合は例外的に代表取締役も登記しますが)(整備法43条1項)

つまり


 「大阪市都島区友渕町一丁目5番〇〇
 取締役 小林一行」


という感じで「代表取締役」としての立場は登記しないんです。

なぜこのような違いを立法者はもうけたのか?

 たぶん、当該情報を知りたいという需要の違いが影響しているのではないでしょうか。

株式会社の場合、「取締役」=「代表取締役」とは限りません。

 確かに取締役会非設置会社の場合、「取締役」=「代表取締役」となるケースが多いでしょうが、取締役会設置会社の場合は2段階方式により、「取締役」の中から更に「代表取締役」を選ぶわけです。

 そうすると取引先の人は「この人は確かに取締役だが、代表権まであるのだろうか?その点も確認しないと取引するにあたって不安だなあ」という事になり、登記簿で取締役の代表権の有無を確認する事にメリットを感じるわけです。

それに対して、有限会社。

 こちらの場合、取締役会は設置できません。そのため「取締役」に選任された人はほぼ「代表取締役」でもあるのです。

 たしかに複数の取締役がいる場合、そのうちの特定の取締役の代表権をなくすことはできます。ただそのようなケースは例外です。

 基本的には有限会社の場合、「取締役」=「代表取締役」とまではいえないけど、「取締役」≒「代表取締役」となる。

 そうすると有限会社の場合、「取締役」とは別に「代表取締役」まで登記する必要性が株式会社に比べて相対的に低くなる。

 もちろん、前述のごとくイコールではなく、ニアリーイコールの関係である以上、有限会社においても代表取締役を登記するという立法例があながち不当とまでは言えないかも知れませんが。

 しかし、先ほど申しましたように、多くの情報を公開するという事は閲覧性を害するというデメリットも生じるわけです。

 だから、有限会社の場合、「代表取締役」は登記しないのを原則という事にしたんじゃないかと思います。

 もちろん、全員が代表取締役でない場合は有限会社でも「代表取締役」としての立場を登記しますが、かかる例外的な事情があるときだけに限定しても利害関係人への情報開示としては十分じゃないかと。

 どうですか?こんな感じで覚えたら苦痛な登記事項の暗記も少し楽しくなってきませんか(笑)

 この他にも持分会社の社員の部分でも実は合理的な登記事項にしてるんだなーと思われる箇所がありますので、また次回にでもアップしますね!

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